伝統と威厳を感じさせるジョージアンスタイルのF様邸
1714~1830年、イギリスを統治したジョージ王朝に因んで名づけられた「ジョージアン様式」は、ルネサンスの影響を受けてイギリスで確立し、その後アメリカにもたらされ、アメリカ全土に普及した建築様式である。特に南部では、レンガの組積造による左右対称のシンメトリック・デザインが特徴的だ。
これは、当時の上流階級や貴族のステイタスシンボルとして愛されていたもので、この建築様式に込められた堂々たるデザインの考えは、アメリカに渡ってもなお引き継がれ、憧れのスタイルとして普及している。
当物件施主様は歴史上にも名の上がる由緒ある家系を汲んでいるお家柄。まさにこのジョージアン様式は施主様にふさわしいとの考えから、ファサードデザインの設計を行った。
東南の角地に位置する当物件は、南面が車の通りの多いメインストリートである。そこにしっかりと住宅の顔(ファサードデザイン)を向け、ブリックタイルとギリシャ建築を想わせる(グリーク・リバイバル)コラム柱を配したポーチを配置。大切な来賓をお迎えするにあたり然るべきデザインに仕上げた。また、角地への建造であることから、ファサード部分にエアコンなどの外機を設けないよう考慮している。
このように、ファサード(メイン方向)を重要視し、他の面はコスト効率を考え素材を使い分ける手法はアメリカの住宅地では当たり前のやり方で、当物件の場合も南面のレンガと東面の下見板(ラップサイディング)の切替えがひとつのデザインともなっている。
インテリアはこの重厚な外観とは反して、奥様のご要望もありプチカントリーのスタイルを採り入れた。
白色系の無垢フローリングやテラコッタタイルや、水まわりのクラシックな水栓など、各所のディテールは柔らかいフォルムのものを採用した。
ドッグブリーダー業を自宅でなされている施主様。そこで、勝手口をキッチン横とは別にもう一つ設け、外と中の行き来を円滑化した。住まう人々の生活に沿ったつくりも「豊かな住環境」の大事な一要素である。
Construction overview
工事概要
- 所在地:神奈川県
- 用途地域:第一種低層住居専用地域 容積率100%/建蔽率50%
- 敷地面積:165.32m²
- 工事種別:新築一戸建て住宅
- 構造:木造壁式工法 2階建
- 延べ床面積:149.06m²(45坪) ロフト:14.9m²
- 工期:2015年8月~12月 *外構工事除く
Design style & Spec
デザイン様式・主な仕様
- 建築様式:ジョージアン・スタイル
- 外壁:ブリックタイル張り、キーストーン(CAN’ENTERPRISES)下見板張り(ラップサイディング)
- ポーチ・アプローチ床:コンクリート下地300角磁器タイル張り(BOWCS)
- 内装:壁天井 ドライウォール工法、床無垢フローリング、水廻り床 300角400角磁器タイル張り(BOWCS,B’stile)
- 什器:洗面シンク、水栓、ミラー(KOHLER)
- 照明器具:シャンデリア・ブラケット(CAN’ENTERPRISES)